在留資格「技能」申請時の在職証明書について
インド料理や中華料理、タイ料理の料理人として就労するための在留資格「技能」が許可されるには、その料理人としての実務経験(インド料理・中華料理等の料理人は10年以上、タイ料理の料理人は5年以上)が必要とされます。これら外国料理の料理人として「技能」の在留資格を申請する際には、料理人としての実務経験を証明するため、申請人が過去に働いていた料理店やホテル等から在職証明書(Certificate of Employment)を取り寄せる必要があります。(※)
(※)採用する日本の会社や店舗が一定規模以上の場合は在職証明書の添付は不要になります。
➡この在職証明書(Certificate of Employment)については記載すべき項目以外にも、注意すべきポイントがあります。今回はそれらのポイントについて解説していきたいと思います。
在職証明書への記載事項
冒頭でも触れたとおり、インド料理や中華料理の料理人を日本に呼び寄せて働いてもらうには、出入国在留管理局に在留資格認定証明書の交付を申請する際、申請人が過去に10年間、インド料理や中華料理の調理師として働いていたことを証明する在籍証明書を添付しなければなりません。(※)
(※)在職証明書がが外国語で作成されている場合には、訳文(日本語)も一緒に添付する必要があります。
➡この在籍証明書は、その外国人調理師が働いていた料理店やホテルのオーナー(もしくは人事担当者等)が署名したうえで作成します。在職証明書には決まった書式はありませんが、以下の項目をかならず記載する必要があります。
【在職証明書への記載事項】 | |
【申請する外国人ご本人に関する記載事項】 | ① 氏名 |
② 生年月日 | |
③ 住所 | |
④ 正確な在籍期間 | |
⑤ 具体的な職種や業務の内容 | |
【在職証明書を発行する機関に関する記載事項】 | ① 名称 |
② 所在地 | |
③ 代表電話番号 | |
④ 在職証明書発行者の氏名(署名) | |
⑤ 在職証明書発行者の役職 | |
⑥ 在職証明書発行者の連絡先 | |
⑦ その他会社や店舗の証明事項 ※在職証明書のトップに、会社や店舗のロゴを張り付けたりする場合もあります。 |
在職証明書発行に関する注意事項
出入国在留管理局は、在職証明書への記載事項を元に、料理人としての職務経験があるかどうかを審査しますが、このビザ申請時の「在職証明書」に関しては、事実と異なる内容が記載されたり、偽造されたりすることが少なくないため、入管側も非常に慎重に確認を行います。実際に、在職証明書の書面審査のみならず、在職証明書を発行した会社や店舗へ直接連絡をしての確認も行われます。
➡さらに、在職証明書を発行した会社や店舗への代表電話番号への確認(実在の確認)のみならず、在職証明書の発行者としての署名人に直接連絡をして、「本当に申請者に対して在職証明書を発行したのか」、「在職証明書に記載された在籍期間について事実と相違ないかどうか」等を本当に慎重に確認します。
以上のような出入国在留管理局の在職証明書の確認・審査の結果、在職証明書に虚偽の記載がされていたり、外国料理人としての調理師経験が実際に10年に満たないと判断された場合、外国人調理師としての在留資格「技能」が許可されることはありません。
➡また、在職証明書への記載事項が事実であったとしても、在職証明書へ記載した会社や店舗の電話番号が古い電話番号であったため、電話が繋がらなかった場合や、在職証明書への署名者が、出入国在留管理局からの問い合わせに対し、しっかりと回答できなかった場合などでも申請が不許可になるケースがあります。
在職証明書発行に関するポイント
提出する「在職証明書」について、書面審査だけではなく、その真偽についての確認も行われることも考慮しますと、① 申請人である外国人ご本人や、外国人の方を調理人として採用する会社やレストラン、また行政書士等の申請取次者自身が、在職証明書に記載された会社や店舗の電話番号に電話をかけ、その会社や店舗に電話が繋がるかどうか、② 申請人である外国人が過去に在籍していたこと、また在籍していた正確な期間を、署名人が把握しているかどうか等を事前に確認することが必要です。
記載事項に関しては、ビザ申請時に求められる「在職証明書」も、一般的な在職(在籍)証明書(社員が転職する際、お子様が保育園や学校に入学する際、転居やローン審査の際などに発行を求められるもの等)もさほど違いはありませんが、ビザ申請時に添付する在職証明書に対する、出入国在留管理局による審査確認は、かなり慎重に行われることに注意すべきです。